海外ドラマの「底なし沼」

海外ドラマにハマって見続けたことはありますか?

最近は動画配信サービスの充実もあって、海外ドラマ、映画を観ることが本当に手軽になりました。

わざわざ駅前のレンタルビデオ屋に借りに行って、見終わったら返す、忘れたら延滞料を、なんて今となっては遠い昔の話。

部屋にいながら、その場で再生ボタンを押すだけで、続きがどんどん見られる。でもこれがくせ者で、

特にアメリカのドラマの多くは、ラストシーンで続きが気になるような仕掛けがしてあるため、ついつい見続けてしまい、

気がつけば何時間も経っていて「あぁ、また一日を無駄にしてしまった」という自責の念にさいなまれる、という経験がある方も多いのではないでしょうか(もちろん僕もその一人です)。

勉強に何時間も、というのは難しくても、ドラマに何時間もというのはとても簡単。

日本人が英語を習得するには数千時間かかる、と言われます。そしてそのためには「毎日数時間」を勉強に費やす必要がありますが、

もし、そうやって「ドラマにハマって見ている時間」の全てが「英語の勉強時間」としてカウントされるようになれば、習得の可能性は大きく高まりますよね。

そうなればもう、「ドラマを見すぎた」と罪悪感を感じる必要もない、楽しみながらかつ英語力を高める、ことも可能になるということ。

そうなればいいと思いませんか?

実際、これまでに海外でたくさんの「英語を外国語として習得された方」(つまり英語ネイティブではなく、フランス人やスペイン人など、勉強して英語をものにされた方)と、

どうやって勉強したかについて話しましたが、ドラマ・映画を大量に観ることが英語力の向上に大いに役立った、とおっしゃる方はとても多かったです。

今の自分も同じ状況です。映画・ドラマを観ることで英語力を維持、向上させています。毎日ドラマを楽しむことが、イコール英語力の成長につながる。

「ただ観る」だけでは成長できない

でも「英語の聞き取りの土台」が出来てない人が同じことをやっても、「ただ楽しんで」終わりです。まぁ楽しいだけいいですが、英語力の向上には1ミリも役立ちません。

たとえば映画の評論家は、年間何百本の洋画を観る、という生活を何十年と続けますが、それによって自動的に英語が習得できることはありません。

また、うちの母はもう15年以上、毎日最低でも3本以上(多い時は10本とか)の韓流ドラマを見る、というハードな(?)生活を続けていますが、韓国語は一切分かりません。

なぜか。 

普段映画・ドラマを見る場合、普通は日本語字幕で見ますよね。

これはすなわち「日本語」で「文字を読んで」内容を理解しているということ。字幕という文字情報に頼り切っているわけです。

「字幕なしで楽しむ」ためには、「英語」の「音」を理解のための材料として使う必要がありますが、上のケースでの理解のプロセスに、英語は一切関与していない、ということになります。

で、肝心の「英語」の「音」はというと、例えば声のトーンで感情を読み取る、ぐらいのことはするでしょうが、大部分はほぼ完全に「雑音」として聞き流してしまっているはず。

だからこの経験をいくら積んだところで、「字幕無しで楽しめる」ようになるはずがない、当たり前ですよね。

ではどうしたら、「ドラマ・映画を字幕無しで」が可能になるのでしょうか。

「音」で「理解」すること

まずは当たり前ですが、「音」をないがしろにせずに、むしろそこに集中すること。 だって「字幕無しで」ということは、理解するための材料は音がその中心になる、ということですから。

さらにただ集中して音を聞くだけでは足りません。それが表す内容を「理解」する必要があります。

で、そうして「理解」するためには、その音が「どんな単語からなっているか」がわからなくてはなりませんよね。

もしどんな単語が使われているかがわからなければ、それはまるでページを真っ黒く塗りつぶされた本を読もうとするようなもので、「意味の理解」どころではあ りません。

つまり英語のリスニングとは

音に集中して情報をキャッチ
    ↓
それがどんな単語からなっているかを把握
    ↓
     理解

という順番をたどるのだということ。

ただしご承知のように、これは簡単にはいきません。

例えばこのセリフを聞いて、それがどんな単語からなっているかわかるでしょうか。 下のリンクをクリックして書き取ってみてください → およそ3秒の英語が流れます

答えは下に。ご自身で答えを出してからご確認ください。

すべての単語が書き取れたでしょうか?

答えは

I don’t know dad. I mean, It looks like a bunch of little kids live here. 「わからないよ、パパ。なんというか、幼い子どもの集団がここに住んでいるみたいだ」

一つ bunch という見慣れない単語はあるものの(束:a bunch of 〜で「束になった〜、〜の一団」という意味 )、

こうして文字であれば、意味を取る(理解する)のも難しくはないでしょう。

特に最初は I don’t know, dad.  です。これがわからない人はいない、というぐらい文字なら楽勝もいいところ。

でも音だと、そう簡単にはいかない。

リスニングの難しさ

特に映画・ドラマの音声は、英語のニュースやTEDのスピーチなどとは段違いの難しさです(上の音声もドラマの一節です)。

字幕なしで楽しめる人というのは、これぐらいのものを聞いて、使われている単語がきちんと把握できる(しかも一発で)、だから理解できるのです。

音で聞いて、使われている単語がわからなかった、のであれば理解のしようがありません。それはすなわち聞き取れないということ。

もう一度リスニングのプロセスを確認すると

音に集中して情報をキャッチ
    ↓
それがどんな単語からなっているかを把握
    ↓
     理解

ですからね。単語が把握できなければ、理解は「絶対に」出来ないのです。

学生時代、文字を中心に英語を学んできた多くの日本人にとっては、この「音を聞いてそれがどんな単語からなっているか把握する」という最初の壁が高すぎるために、

肝心の「理解」の段階まで行きつかないのです。

もしここを突破できれば、つまり音に含まれている単語がちゃんとわかるようになれば、後はリーディングとほぼ同じ状況になります。

もちろん「単語が出てきた順に、戻らずに意味を取っていく」「相手の話すスピードで理解する」など条件は加わりますが。

ですから、字幕なしで楽しめるようになりたいと思うなら、この最初の「音を聞いてそれがどんな単語からなっているか」という段階をどうやったら超えられるか、ということを真剣に考えなくてはなりません。

このように、

「映画やドラマのセリフが聞き取れるようになりたい」からといって、ただ闇雲にたくさん観れば勝手にリスニングの力が上がっていくということはなくて、

こうして「リスニング」の仕組みを分析して、自分が問題を抱えているのはどの段階なのか、ということをまずは明らかにして、

ではその段階をスムーズにこなせるようになるにはどうすればいいか、と考えて取り組むことで、初めてそこに近づくことが可能になる、ということです。

スピーキングの力を鍛えるのにも利用できる

そして同じことはスピーキングにも言えます。

ドラマや映画に含まれるセリフは、「日常会話で使える表現」の宝庫ですが、

これもただ観ているだけでは、通り過ぎてしまって終わりで、その貴重な武器は一生自分のものになることはないでしょう。

ではどうやったら映画・ドラマの視聴をスピーキングの養成に活かせるのか。

それを知るために今度はスピーキングについても同様に分解してみましょう。

1,これを話そうというアイデア(初心者はもちろん日本語で浮かびます)

2,それを英語でどう言おうか考え(主語は何にするか、動詞は何でいくかなど)

3,必要な単語・表現を記憶の中から引っ張り出し

4,英語のルールにのっとって組み立てる

5,必要な文法の処理も加えつつ(主語に応じて動詞に s を付けるなど)

6,英語の発音で口から出す

こちらもかなり複雑な作業ですよね。

映画・ドラマの視聴が役に立つのは、この内(3)の「必要な単語・表現を記憶から引っ張り出す」という段階。

ここでは使い方がよくわかっている単語や表現に関する知識がある人ほど有利になります。

スラスラ話せる人というのは、そういう「使えるフレーズ」のストックを多く持っていて、それらを必要に応じてはさみつつ、セリフを組み立てている、だからよどみなく話すことが可能になるわけです。

映画やドラマの一つ一つのシーンに使われているセリフをしっかり「自分のもの」にしていく、これを毎日続けることで、瞬時に使える武器のバリエーションを増やし、スピーキングの力も向上させることができる、ということ。

このように、ただ映画やドラマを観るだけでは何も身につきませんが、「聞き取る」「話す」という作業を細かく分解してみることで、上達のために本当に必要なことが見えてくる、というわけです。

映画でTOEIC900超え

何を隠そう、これを書いている僕自身も、映画でゼロから英語力を高めた張本人です。

中島正博 元塾の国語の教師。33歳の時にゼロから英語をやり直して3ヶ月の独学でTOEIC920点(のちに990に)3年で英検一級に合格。カナダにてTEFL(英語指導法)を学ぶ。大人のやり直し英語サポートのスペシャリスト。

学生時代はずっと英語が使えるようになりたくて、浪人してまで勉強しましたが、たくさんの日本人がそうであるように、その末に英語を聞き取ることも・話すこともできるようにはなりませんでした。

英会話教室に通ったり、高額な教材を買って自分でも勉強しましたがダメで、それで、「日本人が留学をせずに英語を習得することは不可能なんだ」と結論づけ、以来ずーっと英語を避けて暮らしていました。

でも、33歳の時に、10年以上のブランクの末に、もう一度英語をやり直すことを決めました。

そしてその最初に、映画を教材に使ってトレーニングを積んだのです。

たった一人で進めたために、「ド素人がいきなり映画なんて無謀すぎる」と止める人もいませんでした。独学だったことが幸いしたわけです。

で、3ヶ月必死に取り組んだ結果、TOEICで920点を取ることができました(20代で受けさせられた時は460点)。

しかもリスニングは495点中なんと485点取れていました。自分が学生だった頃はまだセンター試験にリスニングが含まれていなかったため、それまで(3ヶ月前まで)の英語のリスニング力はゼロだったのにです。

なぜそんなことが可能になったのか。

もちろん上でお伝えしたことをあらかじめ知っていたわけではありません。

自分が選んだ方法が、たまたま英語が聞き取れるようになるところに直結していたのです。

それともう一つ大きかったのは、いきなり映画を使って鍛えたこと。ですから、あのTOEICのリスニング問題を聞いた時も、そこまで速いと思いませんでした。むしろしっかり捉えられると感じました。

それはまるでずっと高速道路を走っていて、一般道に降りた時のような感覚。

では英語のド素人が、どうやって映画を使って、3ヶ月という短期間でリスニング力を大幅に向上させて、TOEICで900点を超えるまでに到れたのか。

そのやり方について「TOEIC920点までの道のり」の中で詳しくお伝えします。

その内容は…

・人生を変えることになった聞き取りのトレーニング
・具体的なトレーニングのやり方と上達のヒント
・ぶつかった大きな「音の壁」とその乗り越え方
・日本人が英語の聞き取りに苦労する理由
・2月、3月の詳しいトレーニングメニュー
・短期間でリスニング力を高めるのに必要なこと
・TOEIC攻略のために効果が高かったトレーニング
・英語を聞いて「理解」する力の高め方
・語彙などの知識の効率的な強化法
・初心者が英語を「楽しむ」ための方法
・具体的なTOEIC対策のやり方
・TOEICへの挑戦がもたらすもの

などなど、英語が「使える」ようになるために役に立つことばかりです。これを知ってから勉強を進めることで、「使える」までの道のりは大きく短縮できるはず。

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