英語が「使える」ようになるまで(1)
学校での取り組み
①まずは中高の英語の授業で基礎単語と文法を一通り学びますよね。
で、それだけでは大学受験の問題には対応できませんから、
②「入試対策」としてさらに2000語以上の単語を覚えて、英文解釈(どれが主語でどれが目的語か、などを把握しながら読む)の力をつけ、その上で長文を読めるようにします。
ここまでが学校の勉強で作られる英語力の土台。この土台がどれだけ大きいかは、学生時代にどう取り組んだかによって大きく異なります。
まずは①中高での英語の授業への取り組み。ここの時点で穴がある場合(英語が得意でなかった場合)は、土台ができていない、ということですから、まずはその土台作りをご自身でやる必要があります。
得意・不得意というのは、「どれだけ時間をかけたか」によって決まります。頭の良し悪しではありません。
得意にできた人は(復習やテスト勉強などに)しっかり時間をかけただけ。不得意だった人は単に時間が足りていなかっただけです。
この段階は、話せる・聞き取れるように、すなわち「英語が使える」ようになるために最も大切なところです。
受験勉強の経験
そして②大学入試に取り組んだかどうか。実際に受験したかどうかではなく、受験勉強を必死になってやったかどうかです、土台の大きさを決めるのは。どれだけの負荷をかけたか、量を積んだか。
受験勉強をやったという方なら、今度は入試レベルで英語を得意科目にできていたかどうか。得意科目にできなかったという方は、やはり穴がある、ということ。
大学受験をしていない、あるいは英語を得意科目にできなかった、という方は受験レベルの単語を頭に入れることと、英文解釈の本を読んで「精読力(じっくり正確に読む力)」をつけること。その上で長文にたくさん当たることです。
自分のケースでは、浪人までして勉強しましたので、受験レベルでは英語を得意科目にできていました。その意味では学生時代に作った「土台」は大きかったといえます。
ただしこの段階では聞き取ることも、話すこともできませんでした。
やり直してから
で、やり直して最初の3ヶ月で取り組んだことが
音を聞いてそれを文字として書き取り、さらにはお手本の音声を聞きながらそれに合わせて音読する、というトレーニング。
これに映画まるまる一本を使って取り組みました(ただしその前に発音の本を一冊読みました)。さらにはラジオ講座をまとめた本も同じやり方で一冊終わらせました。
そして英語のエッセイ本を使って、左から右に単語が出てきた順にどんどん意味を取っていく練習。何度も読むことでそのスピードを上げることにも取り組みました。
こうして「音への対応力」と「理解のスピードの強化」という、学生時代の取り組み(①と②)で足りていなかった部分を補完した上で、模試を使っての演習→見直しを丁寧にすることで問題への対応力を高めた結果、TOEICで920点というスコアを出すことができたわけです。
もともと学生時代に培った「読む力」があった上で、上記のトレーニングに集中的(3ヶ月で600時間)に取り組んだことで、それまで文字でできていたことが、音でもできるようになった(少なくともそこに近づけられた)、ということ。
結局は「読む力」が上達を決める
そう、文字でできることが音でもできるようになる、すなわち「読む力」がリスニングでどこまで向上できるのかを決めるのです。
一瞬で消える音と違って、文字はずっと残ります。つまり、理解するための余裕がその分あるということですよね。その意味で文字の方が遥かに難易度は低い、その文字でできないことが音でできるわけはありません。
読めないものは聞き取れないのです。
結局は上でお伝えした「土台」の大きさがものを言うということ。学生時代に努力したことは無駄にならないわけですね(当たり前ですが)。
読む力が弱い方であっても、上のトレーニングに集中的に取り組むことで、「聞き取れた」という実感はないまま、問題の解答に必要なヒントをキャッチできることができるようになり、
リスニングのスコアだけが上がって、例えば L440・R280のようなバランスの悪い形でTOEICで700点を超えるということも起こり得ます。
ただし読む力が弱いままでは、その理解力の低さが足かせとなって、それ以上高いレベルに到ることはできません。
ですからTOEICで800点以上を取りたいなら、読む力を鍛えることを真剣に考えなくてはなりません。
→ だからこそ僕が開催しているTOEICの講座では、公式問題集の問題を使って「精読力」=読む力の土台固めることに時間を割きます。リーディングが弱いと結局はリスニングも伸びないため。
逆に受験で英語を得意科目にできていたという方なら、上述したような取り組みをすることで、短期間でTOEICで900点を超えることも十分可能だということ。
話を自分に戻すと、ここまでの取り組みによって、学生時代にはかなわなかった、英語が「聞き取る」への道はひらけました。
ただし、本当の意味で英語を一発で聞いて「ちゃんとわかる」といえるようになったのは、TOEICで950点を超えてから(920を取ってから2年後)。
つまり、それぐらいの「処理のスピード」が身について初めて、余裕をもって「意味の理解」ができるようになるということ。険しい道です。
続きます。